STORY

「娘が来年成人式なんだけど、
ちょっと困っていて相談にのってくれる?」
それは同級生の電話相談から始まりました。

「困っていて?」って
と思いながらご来店いただく日を
中ば楽しみ?にお待ちする日々。

「こんにちは!!宜しくお願いいたします。」
と元気に礼儀正しく入って来たのは
小麦色よりもっときれいに日焼けして
瞳がキラキラと輝く少年のような少女、
優那(ゆうな )ちゃん。

「あぁ、そういう事・・・」と合点が入り、伺うと
「子供の頃からずっとサッカー選手で、今も現役です」との事。

初めてお会いしたお母様「しのぶさん」は
「普通の古典紋様の着物、絶対着たくない
って言うんです・・」と。
「似合いそうもないですし・・」と苦笑い。

太陽のように眩しく輝く、
弾けるような美しさ・・・
そして時々見え隠れする中性的な表情に
とても好感が持てました。

まず思いついてお見せしたのが
太陽の色「黄色」が主体の色艶やかな袋帯。
「わ~~~、きれい」と
お二人とも一目で虜になったご様子。

「でしたら・・」とご提案したのはこれだけ華やかな帯を活かすよう、
着物は生地から選んで、似合う色に振袖を「無地」でお染めするのは?

無地だからこそちらりとお袖から見える
長襦袢のお色目もにも
選ぶ楽しみが広がります。

話はとんとんと進み、全員の意見が一致して
次回は取り寄せた反物からまず生地を選び、染める色を決めることに。

生地によっては帯との相性、生える色とそうでない色も。
まずは白生地選びから。

色決め
四十八茶と言われるほど微妙な色目の違いがある「茶系」
の中からコックリとした深い色目を選択。

無地染であっさりとし過ぎないよう
背紋を一寸の大きさで
刺繍紋を入れることに。

さて、普通の花紋も良いのですが、せっかくのお誂えですから
最初に気に入った帯の文様から柄取りをしては、とご提案。
悉皆展でいらしてくださっていた悉皆士さんにご相談し
てまずはサンプルで柄と色目を作っていただく事に。

柄の大きさや刺繍の色目も何度かやり取り繰り返し、
かくして背紋もご納得頂ける紋様に決定。

基本的に和の落ち着いた色目を
お好みの優那さん、
襦袢の色目は表地を引き立たせながらも
日本古来の緑系「青柳」色に染める事に。

お振袖と帯、
襦袢のお色目が決まったら一段落です。

候補の
小物類、帯締・帯揚げ・重ね衿を何色か選び、
着物が染め上がって来てからの
決定にしましょう!
それまで色合わせを思い描いて
楽しんでくださいね、と。

お母さんのしのぶさんもとても嬉しそうです。

後でわかったのですが、
しのぶさん「つまみ細工」が趣味の域を超えたプロ級の腕の持ち主。
「成人式の娘の髪飾りは自分で作ってあげたかったんです」と。

ひとつひとつお好みを伺いながらも
長く着ていただけるようにと、
皆んなで知恵を絞りながら
祝い着を整えていく日々。
愛娘の成人を祝うご両親の想いは
如何ばかりかと、
思いを馳せながら
心を添わせてお支度に向き合います。

最初のご来店から半年以上の時間をかけ、
かくして優那ちゃんのお振袖は
一式お誂えが出来上がりました。

お草履の鼻緒も色々悩みましたが、
最後は優那ちゃんの好きな色目に!

しのぶさん作の沢山のつまみ細工の中から
美容師さんと相談しながら選んだ髪飾り。

身につける一つ一つに
携わる皆さんの優しさ感じられ、
全てが愛おしく想えます。

前撮りの日、
恥ずかしがり屋のお父さんも
照れくさそうに写真に加わります。

小さな頃からフィールドを駆け回る
娘の姿みて来た父としては
愛娘の眩しい着物姿に
ちょっと戸惑いを覚えます。

「優那ちゃん、
学生時代のお父さんのサッカー姿、
とても素敵だったのよ。」と
声をかけると
「はい!だからサッカーを選びました。」と。

こんなに幸せなお父さん、いるかしら。
どうかいつまでも優那ちゃん、
そして家族のみなさんが幸せでありますように。

<節目の着物>

一つの家族に一つの物語。
同じものは一つもありません。
そんな大切な思い出や尊い想いを共有しながら
祝い着をご用意できることは
とても幸せなことです。

もらった愛情は
きっとまた受け継がれていきます。そうした優しさの循環が
たくさん広がりますようにと願いながら。

着物乃塩田では東京からカメラマンを迎え、七五三や成人式などのお着付けを含め、お祝い時の撮影(お客様と事前相談の上撮影場所を選定)のお手伝いをさせて頂いております。
どうぞ、お気軽にお問合せください。

一日一組限定
外撮影(出張費・着付け・冊子・データを含む) 
費用148,000円〜

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